就職先(警備業)から本籍地で身分証明書を取るように言われたり、資格取得や古物商や建設業などの開業の際に、同じく身分証明書が必要と言われた方も多いと思いますが、それはどのような証明書なのでしょうか。このページでは身分証明書についての解説を致します。
身分証明書とは
身分証明書は、個人が法律上の行為能力を備えているかどうかを証明する本籍地のある市区町村が発行する証明書です。
個人が法律上の行為能力を備えているかどうかとは
以下のことを指しています。
- 禁治産(成年被後見人)又は準禁治産(被保佐人)の宣告の通知を受けていないこと
- 成年後見の登記の通知を受けていないこと
- 破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない(破産者名簿に記載がない)こと
本人確認書類と市区町村が発行する身分証明書は違う
一般的な身分証明書は、マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポートなどで顔写真付きの本人確認書類と呼ばれるものになりますが、この市区町村が発行する身分証明書は、法律上の行為能力を有しているかどうかを証明する証明書になります。
具体的には、破産をしているか、精神上の障害(認知症、知的障害、精神生涯など)があるかなどを証明するもので、精神状態や破産により制限を受ける職業や資格(警備会社などへの就職の際、各種資格試験に合格し名簿登録を行う際、会社役員の就任時)に就職・登録・就任・許認可の際に必要になります。
例えば、建設業で許可を得るには、成年被後見人であったり、破産者で復権を得ない者は欠格要件に該当し、許可を受けられないことになっており、この身分証明書を提出することによって、許認可等で欠格要件にはあたらないということを証明することができます。
禁治産者・準禁治産者とは
禁治産者・準禁治産者とは、平成12年の民法改正(1999年12月改正、2000年4月施行)まで使われていた、制限行為能力者の呼称で、精神上の理由(認知症、知的障害、精神生涯など)によって判断能力が欠けている状態にあることにより、詐欺や不利な契約などから守るために重要な判断の必要な法律行為をすることを制限されている方々のことになります。
禁治産とは、心神喪失の常況にある者を保護するため、法律上自分で財産を管理・処理できないものとして、後見人をつけることであり、禁治産者とは現在の成年被後見人(精神上の障害のために判断能力を欠く状況にある者)のこといい、準禁治産とは、心神耗弱(しんしんこうじゃく)者等意思能力が不十分な者や浪費癖がある者に対して、保佐人の同意なしに財産上の行為をすることを禁じたものであり、準禁治産者とは現在の被保佐人(判断能力が不十分な状況な者)のことを指します。
また、その表現が差別的であるなどの理由から平成12年の民法改正により、禁治産、準禁治産の制度は廃止と同時に、現在の成年後見人、保佐人の制度に変更にされました。
身分証明書の記載内容とフォーマット
身分証明書に記載されていることは、以下になります。
- 本籍
- 本人氏名
- 生年月日
- 1. 禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていないこと
- 2. 後見の登記の通知を受けていないこと
- 3. 破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないこと
これらを発行日付において、本籍地の市区町村長が証明する旨が記載されています。
身分証明書のサンプルと事例
身分証明書の取り方
申請場所
本籍地がある自治体の役所
※本籍地がわからない場合は住民票などで確認しましょう。本籍地の確認方法
申請者(請求できる人)
・本人
・本人の親権者(未成年の場合)
・代理人(代理人請求の場合は本人からの委任状が必要)
窓口での発行請求に必要なもの
・身分証明書交付申請書(窓口に設置・自治体のサイトから申請書ダウンロード)
・本人確認書類
※交付申請書の記載には、正確な本籍地と筆頭者の氏名が必要となるため、前もって確認しておきましょう。本籍地の調べ方と筆頭者の確認方法
※代理人請求に場合は、代理人の方の本人確認書類が必要です。
発行手数料
・手数料 1通300~500円
郵送で請求での取り寄せ方法
送付するもの
・身分証明書交付申請書(郵送用)(自治体のサイトから申請書ダウンロード)
※以下の必要事項を記入した便せん等で書式は問わない自治体もあります。
- タイトル「身分証明書請求」
- 本籍の表示(本籍の番地まで記入)
- 戸籍筆頭者の氏名(戸籍において最初に記載されている方の氏名)
- 請求する証明書の種類(身分証明書を請求する旨を明記)
- 請求する証明書の必要通数 ・請求者の住所、氏名、生年月日、電話番号(日中連絡の取れる電話番号)
- 請求者(代理請求の場合は代理人)の本人確認ができる証明書等の写し
※法人名義で申請する場合、法人印の押印が必要。
・返信用封筒(返送先である住民登録地の住所と氏名を記入し、返信切手を貼ったもの)
・本人確認書類の写し(裏面に住所などの記載がある場合は、裏表の写しが必要)
・郵便局の定額小為替での手数料 1通300~500円
※定額小為替の指定受取人欄は、指定がなければ空欄(何も書かない)
※定額小為替での釣銭は返却してもらえません。
※現金、切手、収入印紙では請求できません。
・代理請求の場合は、請求者本人が自署押印した委任状
※本人と同一戸籍の方でも本人の委任状が必要になります。
身分証明書のコンビニでの発行と取得方法
コンビニで住民票や戸籍を交付している市区町村は、908市区町村(2022年02月現在)となっていますが、身分証明書はコンビニ交付をしている自治体はまだ無いようです。
もともと身分に関わる機微情報であるため、本籍地の窓口でしか交付できないものと思われます。
身分証明書に関する全国47都道府県市区町村HPリンク先
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