元夫(元妻)の配偶者や子の戸籍謄本の閲覧は可能
戸籍謄本と戸籍の附票は、元夫(元妻)の現在の戸籍に、配偶者(相手方)が除籍者として記載されている場合、取得する事ができます 。
誰が戸籍を取得、閲覧可能なのか
戸籍謄本と戸籍の附票は、
(1)その戸籍に記載されている人
(2)除籍と記載されている人
(3)(1)と(2)の配偶者
(4)(1)と(2)の直系尊属(親・祖父母等)
(5)(1)と(2)の直系卑属(子・孫等)
の方は取得する事ができ、閲覧が可能となっています。
離婚の前後で戸籍がどうなるか
子なしの夫婦が離婚したとき
結婚後、妻が夫の戸籍に入り、夫の姓になった場合についてを解説いたします。離婚後の元夫の戸籍には、元妻が除籍された記載が残り、元妻の異動先の本籍が記載されています。離婚後の元妻は、新しく戸籍を作るか、両親の戸籍に戻ることになります。
除籍の記載が残っているので、元妻は元夫の戸籍が取れる
元夫の戸籍には、元妻の名前が除籍として記載されたままになっています。
そのため、元妻は「除籍簿が欲しい」と請求することで、自分本人が記載されている元夫が筆頭者の戸籍謄本を取得することが可能です。
元夫が転籍をしていないことが元夫の戸籍謄本を取得できる条件ですが、元夫が転籍をしていても、転籍前の自分本人が記載されている元夫の除籍謄本であれば取得が可能になります。
戸籍の記載がないため、元夫は元妻の新戸籍は取れない
離婚後の元妻は、新しく戸籍を作るか、両親の戸籍に戻ることになりますが、いずれにせよ元妻の戸籍には元夫の記載は残る事はありません。
そのため、元夫は元妻の異動先である本籍地で元妻の戸籍謄本を請求しても、元夫の記載はないため、原則取得することはできません。
DV加害者に情報提供してしまう制度の“欠陥”
離婚後の戸籍が閲覧可能であることによって、ドメスティックバイオレンス(DV)加害者に情報提供してしまう、制度の“欠陥”・“盲点”となっています。
現在、DVや虐待被害者への支援措置として、行政は住民基本台帳法などに基づき、現住所が分かる住民票などの閲覧や交付に制限をかけることができますが、現住所が記載されない戸籍謄本は対象外となっています。
戸籍のつながりから入手可能な情報
戸籍法では、直系の血のつながりがある者は理由なく請求できます。
そのため、加害者であっても自分の子の戸籍謄本を簡単に取得できてしまい、子どもの戸籍のつながりから、以下のような情報が入手可能です。
(戸籍の全部事項証明書)
・元妻(元配偶者)の本籍地
・元妻(元配偶者)の両親の名前
・元夫(自分)との間に生まれた子どもの出生日や出生地
・現在の配偶者との子どもの出生日や出生地
・現在の配偶者の氏名
・婚姻届を受理した自治体名
このように元妻(元配偶者)と子どもが同一戸籍にある場合、避難後の婚姻の情報なども知ることができて、そこからSNSなどから住所を類推することが可能になってしまいます。
コメント