転入届・転居届を出さず、住民票を移さないと罰金か
14日以内に手続きが必要
住民票の移動の手続きは、法律(住民基本台帳法第22条)で、引越し日(転入をした日)から14日以内にしなければならないと定められています。
法律を厳格に適用すれば、14日以内に転入届を行わないと住民基本台帳法違反となってしまいます。
罰則の過料は最大5万円
その場合、行政罰(道路交通法違反の減点と同じ位置付け)である「過料(かりょう)」が課される恐れがあり、最高額は5万円になります(住民基本台帳法第53条)。尚、刑罰の科料(かりょう、とがりょう)ではなく、行政罰の過料(かりょう、あやまちりょう)になります。
引越しから14日を少しでも過ぎた場合、必ず罰則が科せられるわけではありません。
通常数ヶ月程度なら、役所の窓口で注意を受ける可能性はありますが、罰則のお金を納めることはありません。
このページの下に、実際に過料を科された事例を記載しています。ご参考になさって下さい。
尚、単身赴任・学生の場合は、住民票の移動を行わなくてもいい場合がありますので、該当する方は以下をご参照下さい。
転入書に記載する「転入をした日」を虚偽で提出したら
届出書に記載する「転入をした日」は、賃貸物件の契約日や荷物を入れた引越し日などではなく、実際に貴方がその住所に住みだしたと認識した日(生活の本拠と認識した日)が、「転入をした日」になります。
届出書に記載する「転入をした日(引越しした日)」を、届出書の提出日から14日以内の日付を記載すれば、引越しから14日以内なので、「過料にならない。」・「バレなければ良い」と思う方もいらっしゃるかも知れません。
しかしながら、住民票は、住民の権利義務に関する公正証書の原本にあたりますので、虚偽の届出行為は刑法第157条に基づいて「公正証書原本不実記載罪」 、「公正証書原本不実記載未遂罪」という犯罪行為であり、当該罰則は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、行政罰ではなく、刑罰(前科)となりますのでご注意下さい。
以下のように、各自治体も注意喚起をしています。
過料を受けずに済む方法?
余談ですが、過料を科すという役所の行為も、過料の額の数十倍の税金(人件費・裁判費用)が消費され、お国のためにならなかったり、窓口の係員も、過料を科すという評価されない仕事で時間を消費するよりも、早く仕事を終えて帰宅したかったりします。
また、現在、「不動産屋・大家さん・引越し業者」が、貴方の引越し日を役所に通知する、便利なシステムなどありません。そのため、役所の窓口の公務員さんも、普通の人間ですので、貴方の引越しした日を知るすべは、ありません(役所として、貴方の引越し日は認識していません。※注)。
貴方も人間なので、実際の「転入をした日」と「本日の日付」を間違って書いて届出をしてしまい、役所の窓口の人も届出内容を確認せずに処理し、そのまま届出が受理されることもあるかもしれません。
何か言われたら、勘違いして、「転入をした日」と「本日の日付」を間違って書いてしまったことを伝えて、通常数千円の過料を払えば、貴方の心の不安は消えたりすることもあるかもしれませんね。
※注
貴方の元の住所に貴方の家族・親戚・知り合いが現在も住んでいる場合なら、役所が貴方の引越しについて知ることはないのですが、元の住所に、現時点で他人が住んでしまっている場合、役所が貴方の引越しについて、認識している場合があります。
貴方の旧住所に新しい住人が住み始め、住民票の移動の届出を行った場合、貴方が住民票の移動の届出を行っていないと、役所では、「あれ?おかしい」と、貴方が手続きを怠っていることに気づいてしまいます。
そして、「職権削除」と言って、貴方がその住所に住んでいないことを役所が完全に認識した場合、貴方の住民登録を削減すること(職権削除)が出来ます。
職権削除されていた場合で、引越し日の虚偽の届出を行っている場合、転入届が遅れた過料だけでなく、上記の公正証書原本不実記載罪が適用される可能性があります。
過料が科された事例
住民票の移動手続きの遅滞による過料は、届出期間を過ぎてしまった場合、その全部が全部、過料を処せられるわけではなく、簡易裁判所が、届出期間を過ぎたその長さとその理由等で判断(過料にするか、する場合はいくらにするか)を行います。
悪質でない事例
・数年間、ただ住民票の移動手続きを怠っていた(過料:5,000円)
・数年間、住民票の移動手続きを怠っていたら、元の住所の新しい住人の申出により、住民票が職権削除されていた。そして、職権削減されていたことを知らずに、転居届を出しに役所に行った際、係員から根掘り葉掘り聞かれ、後で、裁判所より3,000円の過料の通知が来た。
悪質な事例
・選挙のため(公職選挙法違反:刑事罰も科される可能性があります。)
・住んでいない地方自治体の長や議員に投票するため
・住んでいない地方自治体の長や議員に立候補するため
・税金を安くするため(脱税を指摘され、追徴課税や刑事罰を科される可能性があります。判例)
・住民税の安い、住んでいない地方自治体に住民票を置く場合
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