埼玉県新座市、タレント市議立川さん当選無効(居住実態なし、被選挙権なし)
▼概要
埼玉県新座市議会議員選挙で、初当選したタレント立川明日香氏(27歳)が、2012年4月20日、埼玉県新座市選挙管理委員会から「市内に居住の実態がなく、被選挙権は認められない」として、当選無効の決定を受けた(当選の異議申し立てを認める決定を行った)。
立川氏は、上記2012年2月19日投開票の選挙(定数26)では無所属で立候補、2067票を獲得し、候補者32人中5番目で初当選していた。尚、所属する芸能プロダクションのホームページによると、テレビドラマやCMモデル、キャンペーンガールとしても活動している。
▼(参考)公職選挙法での被選挙権について
公職選挙法では、市町村議会議員選挙の被選挙権を得るには、以下のように定めている。
・被選挙権の要件は、「選挙権を有する者で満25歳以上」であること。
・選挙権の要件は、「満20歳以上で引き続き3か月以上、選挙区内に住所がある」こと。
※尚、住所の要件は、最高裁は判例で「意思だけでは足りず、客観的に生活の本拠たる実態を必要とする」との見解を示している。
▼市選管の調査結果
市選管が市民からの「市に生活の本拠がない」との異議申し立てを受けて調査したところ、以下のような結果から、「成人女性が生活しているとは考えにくい」と判断した。
・立川氏は、2011年09月20日に東京都練馬区から埼玉県新座市に転入し、住民票を移した。
・2011年10月02日から2012年02月01日までの住民票に記載された住居では、水道使用料がゼロだった。
・電気の使用もわずかだった。
・ガスは当選後の2012年02月25日に供給契約していた。
▼立川氏の弁明
・2011年09月ごろ市内に引越しを行い、1人で住んでいる。
・練馬区に住む子どもを寝かせつけに行くことがあるが、夜は必ず帰っている。
・(新座市の)アパートで寝泊まりはしていた。水道水は飲まない。トイレは使わない。
・立川氏の家族は、新座市に移ったのは当選後で、それまで(練馬区に)一緒にいた(市選管による)。
・(事実関係については)弁護士と相談して対応する(記者会見で)。
・立候補の理由は「練馬区と隣接している、友人がいる等なじみがあった」
▼立川氏の今後の対応について
・当選無効の決定に不服があれば、告示から21日以内に県選管に審査申し立てを行うことができる。
・県選管はそこから60日以内をめどに裁決する。
※立川氏が、21日後の2012年05月11日までに県選管に審査を申し立てなければ、当選無効が確定する。
・県選管の裁決にも不服があれば、その告示から30日以内に高等裁判所に裁決取り消しを求めて提訴できる。
・最終的な決定は、最高裁で確定する
・最終的な決定が行われるまで、立川氏の議員の身分は保障され、議員活動は続けられる。
※立川氏は決定を不服として、県選管に審査申し立てを行い、議員活動は続ける意向のようである。
▼立川氏が所属会派代表※コメント
・母親をしながら選挙を行い、芸能活動も続けてきた立川さんの努力が認められなかった。
・寝るために新座市に帰っていたということが生活実態にならないと判断され、残念。
・立川市議なりにギリギリの努力をし、ガスも契約せず寝るだけの生活をしていたのに、居住実態がないとされて残念。
・同僚として、チームとして彼女を支えたい。
※「市民と語る会」代表、高邑朋矢市議
▼過去事例
埼玉県選挙管理委員会によれば、被選挙権がないとして当選無効になったのは埼玉県内では、初めてとのこと。
類似の事例としては、埼玉県内では1991年の岡部町(現・深谷市)議選と2007年の杉戸町議選で、町民から当選者について異議申し出があったが、いずれも両町選管や県選管が棄却されたという。
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