印鑑証明の有効期限
A.法律的には、印鑑証明に、有効期限はありません。
印鑑証明書の有効期限は、「提出先(受取先)」で決めるものになります(印鑑証明の受取先が有効期限を定めていることは多々あります。)。
なぜ、3ヶ月や6ケ月の規制を設けるかというと、印鑑証明の内容が実態と合ってれば、問題ないのですが、発行後、長期間時間が経過していると、その間に印鑑登録の印鑑を改印したり、住所を変更為たりする場合があり、実態と合っていないリスクが高くなるからです。
上記に記載したことと同様に、戸籍全部事項証明、印鑑証明書、登記簿謄本、住民票などに、市町村区役所が定めた法的有効期限はありません。故に、受け取る側が問題とすることがあり、通常、証明書が発行されて3ヶ月~6ヶ月以内という受け取り先が多く、多くの証明や添付する基準と成っています(証明書は発行日時点での内容が記載されたものであり、発行年月日の記載があります。)。
そのため、上記証明書が今後必要になることがわかっていても、悪用される恐れもあるため、まとめて取得することは、得策ではありません。
印鑑証明書について
印鑑登録証明書(印鑑証明) は、金銭の借り入れ、不動産の登記、自動車の登録売買など、権利義務の発生する重要な取引・法的手続きに利用される印鑑を公的に証明するものになります。
印鑑証明書は、個人の場合は住民登録をしている自治体の役所に、法人(会社)の場合は管轄の登記所に、届け出ている印鑑の印影が、真正なことを証明するための書類です。従いまして、印鑑証明書の交付を受けるためには、予めその役所や登記所に印鑑の印影を届け出る必要があります。その際に届け出た印鑑を通常、実印といいます。
尚、印鑑証明書が必要になる場合は、不動産・自動車の購入、ローンを組むなど大きな取引などの場合が多いため、他人が簡単に真似できてしまう100円ショップで販売されているような判子などは実印とすべきではないでしょう。
印鑑登録証明を初めて取得する方は、
(1)住民登録地で事前に「印鑑登録」を行い、「印鑑登録証(手帳もしくはカード)」を受領し、
(2)「印鑑登録証」を提示して、「印鑑登録証明書」を取得することになります。
【参考リンク】
住民票の有効期限 住民票.com/?p=87
以下、戸籍・住民票・印鑑証明で有効期限があるもの
パスポート
パスポートの場合は通常、戸籍抄本(謄本)は、旅券法施行規則第1条2項により「6か月以内に発行されたもの」が有効期限になっています。
旅券法施行規則
第一条 (申請の書類)
2 法第三条第一項第二号 の戸籍謄本又は戸籍抄本(提出の日前六月以内に作成されたものをいう。以下同じ。)は一通とする。
不動産登記
以下のような不動産登記を法務局に申請する場合の印鑑証明は不動産登記法施行細則44条により3ヶ月以内と決められています。
(1)所有権移転や所有権抹消などの登記申請をする場合
(2)融資を受けその不動産に抵当権の設定登記を申請する場合
(3)土地の合筆や建物の合併登記を申請する場合
(4)相続人が、遺産分割協議書に印鑑証明書を添付して相続登記を申請する場合(この場合は3ヶ月は関係なし。)
相続の場合(遺産分割協議書)
相続を行う場合、土地の名義変更や預預金の名義変更をすることとなります。まず始めに、遺産分割協議書・承諾書の作成が必要となります。遺産分割協議書には、相続人の実印を押印します。
この印鑑証明書の有効期限についてですが、相続の場合には、定めた法律がありませんので、被相続人が亡くなられた後に発行されたものであれば、有効期限は関係ありません。
公証役場
遺言の作成など公証役場に提出する印鑑証明書は6ケ月以内の期間となります。
医師免許
医師免許の際に提出する証明書は、6ヵ月以内の有効期間となります。
厚生年金
厚生年金基金規程変更届の際に提出する証明書は、1ヵ月以内の有効期間となります。
大検
大学入学資格検定規程の第七条により、大検の際に提出する戸籍抄本又は住民票の写しは、6ケ月以内の有効期間となります。
Q.印鑑登録・実印登録の方法、変更方法を教えて下さい。
印鑑登録証明書を取得するには、まず印鑑登録を行い、その際に交付される「印鑑登録証」で申請を行うことが必要になります。
印鑑登録を行い、印鑑登録証を受領するには、顔写真付きの本人確認書類を持参し、本人が申請を行えば、当日のうちに印鑑登録を行い、印鑑登録証を受領することが可能です。そうでない場合は、4~7日ほどの照会期間を見込んで、早めに手続きをしてください。
4通りの申請方法
印鑑登録の申請方法は、本人・代理人・保証人などに応じ、以下の4通りとなっております。いずれも、住民登録している役所の窓口に出向き、窓口に設置されている「印鑑登録申請書」に必要事項を記載し、以下のものをご持参・ご提出ください。
(1)本人申請の即日交付(写真付き本人確認書類)
申請日に「印鑑登録証」を受領でき、その日のうちに「印鑑登録証明書」の発行を受けることができます。
(準備物)
・登録を受けようとする登録可能な印鑑
・官公署が発行する顔写真付きの本人確認書類
※ 本人確認書類は、運転免許証、パスポート、写真付き住民基本台帳カード、身体障害者手帳、在留カード、特別永住者証明書など、官公署の発行する本人の写真が付され、氏名・生年月日等が確認できる証明書等の原本に限ります。
※ 氏名・住所変更などの書換手続きをしていない場合、手続きできない場合があります。
※ 転入(引越し)と同時に印鑑登録を行う場合は、即時に印鑑登録証の受領ができない場合もあります
(2)本人申請の即日交付(保証人)
申請日に「印鑑登録証」を受領でき、その日のうちに「印鑑登録証明書」の発行を受けることができます。
(準備物)
・登録を受けようとする登録可能な印鑑
・官公署が発行する本人確認書類(保険証等)
・保証人とご本人が一緒に役所に行くことが必要
※保証人は、同一市町村区内に居住し、印鑑登録を実施している方
※保証人は未成年者・代理人を除く
・印鑑登録申請書の保証人欄に、保証人の署名・押印(登録印)
・保証人の発行後3か月以内の印鑑証明書(不要な場合も)
※ 同一市町村区内の保証人でない場合でも、自治体によっては、保証人になれるようです。詳細は、お住まいの自治体にご確認ください。
※ 転入(引越し)と同時に印鑑登録を行う場合は、即時に印鑑登録証の受領ができない場合もあります。
(3)本人申請の後日交付
登録申請後、自宅に照会書(回答書付き)が送付されます。照会書が届いたら、回答書に必要事項を記載し、再度役所で手続きを行って下さい。「印鑑登録証」を受領でき、その再訪問日のうちに「印鑑登録証明書」の発行を受けることができます。
(第一次準備物)
・登録を受けようとする登録可能な印鑑
・官公署が発行する本人確認書類(保険証等)
(第二次準備物)
・回答書
・登録を受けようとする登録可能な印鑑
・官公署が発行する本人確認書類(保険証等)
※ 照会書には、30日程度の有効期限があり、その期間を過ぎると無効となり手続きができなくなるため、ご注意下さい。
(4)代理申請の後日交付
(第一次準備物)
・登録を受けようとする登録可能な印鑑
・代理人の本人確認書類
・代理人の印鑑(認印)
・委任状
(第二次準備物~本人~)
・回答書
・登録を受けようとする登録可能な印鑑
・官公署が発行する本人確認書類(保険証等)
(第二次準備物~代理人~)
・回答書(本人が自署し、代理人選任通知の欄も記入)
・登録を受けようとする登録可能な印鑑
・登録する本人の官公署が発行する本人確認書類(保険証等)
・代理人の本人確認書類
・代理人の印鑑(認印)
・委任状
※ 代理人による手続きには、印鑑登録を行うご本人の委任状が必要です。通常、委任状に規定の書式はありませんが、次の事項の明記は必要となります。
・宛先「自治体の長宛て」
・委任者の住所、氏名(自署・押印)、生年月日
・代理人の住所、氏名
・委任する内容 (例)印鑑登録申請
・委任状の作成日
Q.実印と印鑑証明を貸し、保証人にされた場合、どうすればよいか。
知らない間に連帯保証人になっていた。「実印と印鑑証明」を友人や親族に貸し、友人や親族が蒸発し、その後、金融機関から、借金の連帯保証人になっているので、支払ってほしいと連絡が来る事例が多々あります。
金融業者が友人・親族をと通謀虚偽(共謀して詐欺行為)をしてなければ、金融業者は善意の第三者であり、金融業者があなたへ請求を行うことは、正当な行為になります。
対処方法
・警察に事情を話し、文書偽造・詐欺等の被害届を出す。
・対象:実印を貸した友人や親族
・非対象:金融業者(善意の第三者)
・弁護士費用は掛かりますが、法テラスや弁護士に相談を行う。
・あきらめて、受け入れ、借金を返す/自己破産する。
・その後、友人・親族を訴え、損害の賠償をしてもらう。
あなたが金融業者に対し、隙を付ける点
・債権書類に書かれた筆跡(おそらく他人の筆跡)
・金融業者の本人確認の甘さ(過失)
※ 連帯保証人に対し、写真付きの身分証明書等により、本人確認をした上で、債権書類に対し、面前で署名押印させていないこと。
あなたに不利な点
・実印と印鑑証明を理由も確認せず、貸してしまったこと
※自ら連帯保証人に名乗りを上げたことと同等の行為です。
※ 印鑑証明の下のほうに使用目的を書いても差し支えはないはずです。これにより、目的外での使用を避けることができます(例:○○○○での使用に限る)。
Q.実印と印鑑登録証明書の悪用方法について教えて下さい。
悪用方法の概要
悪用方法について
印鑑登録証明書だけでは、通常悪用はできないので、ご安心下さい。
また、印鑑証明の陰影(はんこの印)から実印と同じ印鑑を偽造することも不可能ではないですが、普通の印章店は、犯罪の可能性があるそのようなことは絶対に引き受けないことと、微妙に数~数百マイクロミリ陰影がズレますので、偽造の心配は低いと思われます。
悪用するには、印鑑証明・実印が必要です。そのため、この2つを一緒に紛失した場合は、ご注意下さい。
→連帯保証人にされる可能性があります。
→印鑑証明は、身分証明書にはならないので、借金をするための本人確認には利用できませんが、印鑑証明・実印と合わせて、何かの契約の連帯保証人としての捺印を押される可能性があります。
また、合わせて、身分証明書も一緒に紛失した場合、悪用される可能性が高くなり、注意が必要です。
→委任状を偽造し、あなたの住民票等の身分証明書で、善意の第三者を騙すことにより、あなた名義で、借金の実施や不動産購入売却が可能です。
対処方法について
急ぎ、あなたの所管の市町村区役所に行き、印鑑登録の廃止・変更手続きを実施して下さい。
既に、契約が実施されていた場合、善意の第三者に対して、契約の無効を抗弁することは難しいかもしれませんが、後日、裁判等になった場合、効果があるかもしれません。
また、盗まれたり、騙されたのであるならば、警察に被害届や盗難届を提出し、相談をしてみることもよいかもしれません。
Q.自動車の名義変更(移転登録)申請書の印鑑証明書は返却・戻って来ますか?
通常、印鑑証明は返却されません。また写し(コピー)の提出も不可となっています。
印鑑証明書原本が返却されない理由
以下のような理由で、管轄の運輸支局・自動車検査登録事務所に頼んでも、通常、返却されません。もし必要であれば、初めに複数枚の申請を行いましょう。
1. 印鑑証明書原本で、申請書・契約書の押印を保証している
2. 印鑑証明書原本がないと押印(捺印した印鑑)の保証ができない
3. 印鑑証明書原本と申請書・契約書と押印がセットになっている
4. 3つのうち、1つでも欠けると効力が発生しない
5. 印鑑証明書を返却すると、効力が失われるので、印鑑証明書は、返却されない
印鑑証明の悪用が怖い場合
目的外使用の防止のため、提出する印鑑証明書の右上に、
・契約書名、契約年月日のみ有効
・車台番号□□-□□□□□の自動車移転登録申請のみ有効
等を黒インクのペンで記載するのもいいかもしれません。
但し、当該追記により、印鑑証明書の効力が無効になる場合もあるため、提出先等に確認をするようにしてください。
Q.不動産賃貸契約の連帯保証人に印鑑証明書が必要な理由を教えて下さい。
保証人の確認のため
昔から不動産契約に関する支払いは、遅延したり、本人が行方不明になることが多く、不動産の契約を行うに当たり、不動産会社から保証会社との契約を求められたり、連帯保証人を立てて、更に、連帯保証人の印鑑証明書の添付が必要と言われることがよくあります。
その理由は大きく2点、「実在の人物か」・「本人の意思があるか」の確認のためになります。
※ 印鑑証明書以外としては、家主や不動産会社の判断により、運転免許証、パスポート、写真付き保険証のコピーの提出を求められることがあります。
保証人の存在確認
契約書に記入されるのが、保証人の住所氏名のサインだけだと、実在している人物か、そこに住んでいるのか疑わしく、偽造も簡単で、それだけでその保証人の人物確認ができません。
架空の実在しない人物では、印鑑登録が出来ず、印鑑証明書も取得ができないため、印鑑証明書の提出は、「契約書の保証人の項目に署名・押印された印鑑の持ち主の存在」を役所に公的に証明してもらうことと同じ意味合いがあります。
つまり、借主が、架空の保証人をでっち上げ、虚偽の保証人で契約されることを防止する目的があります。
保証人の意思確認
通常、自分の子供などの肉親であれば別ですが、赤の他人を保証する人は少ないと考えられます。
また、印鑑証明書は、本人・本人から承諾をもらい委任状がある場合しか取得ができません。
そのため、印鑑証明書の提出を持って、保証人の「保証する」意思確認、保証人になることに承諾しているかの確認を行う目的があります。
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