車庫飛ばしとは?実家や転勤で行われる理由や罰則を解説

自動車/運転免許証

車庫飛ばし(しゃことばし)とは

 車庫飛ばしとは、自動車を登録(購入)する際に義務付けられている車庫証明を不正な手段で、偽造して登録を行うこと、若しくは、車庫証明の保管場所と異なる場所に、車を保管することを指します。

車庫証明は2km以内の駐車場の確保が必要

 現在の車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)では、所有者居住地から2km以内に車庫(駐車場)を確保しなければ、車庫証明を取得することができません。

 そして、この車庫証明を警察署に届け出なければ、自動車の登録ができません。

 そこで、2km以上はなれた場所を確保し、不正な手段により、車庫証明を取得し、自動車の登録を行うことは「車庫飛ばし」と呼ばれています。

車庫飛ばしの罰則・罰金について

 車庫飛ばしが発覚し、自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法) 違反に問われた場合には、20万円以下の罰金が課せられ、また、車庫証明取得手続きを行わないことでも10万円以下の罰金が課せられますのでご注意ください。

車庫飛ばしの罰則一覧表

 また、自動車販売ディーラーが、自動車の販売目的のために、組織的且つ恒常的に虚偽の自動車登録や車庫飛ばしを行った場合は、更に罪が重くなる場合があります。

 このような場合は、刑法第157条の公正証書原本不実記載等の罪を適用され、刑罰として、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性、更に悪質な案件になると、逮捕の対象となりますのでご注意ください。

車庫飛ばしの罰則

虚偽の車庫証明の申請

 虚偽の保管場所証明申請をした場合は、20万円以下の罰金となります。

自動車の保管場所の確保等に関する法律

(保管場所の確保を証する書面の提出等)
第4条
自動車登録(略)を受けようとする者は、当該行政庁に対して、警察署長の交付する道路上の場所以外の場所に当該自動車の保管場所を確保していることを証する書面で政令で定めるものを提出しなければならない。

(罰則)
第17条
2 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 自動車の保管場所に関する虚偽の書面を提出し、又は警察署長に自動車の保管場所に関する虚偽の通知を行わせて、第四条第一項の規定による自動車登録を受けた者

道路上を車の保管場所として使用した場合

 道路を車庫として使用していた場合は、3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金、違反点数は3点となります。

自動車の保管場所の確保等に関する法律

(保管場所としての道路の使用の禁止等)
第11条 
何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。

(罰則)
第17条 
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
二 第11条第1項の規定に違反して道路上の場所を使用した者

道路での長時間駐車の場合

 昼間に12時間以上駐車した場合や夜間に8時間以上駐車した場合は、20万円以下の罰金、違反点数は2点となります。

(保管場所としての道路の使用の禁止等)
第11条
2 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
二 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為

(罰則)
第17条
2 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
二 第十一条第二項の規定に違反した者

変更届の遅延や虚偽届の場合

 引越しや転居の際に、保管場所の変更届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合も、10万円以下の罰金に処される可能性があるため、注意が必要です。

 正式には、変更のあった日(引越し日等)から15日以内の変更申請が必要となっています。

自動車の保管場所の確保等に関する法律

(保管場所の変更届出等)
第7条 
自動車の保有者は、保管場所の確保を証する書面(略)において証された保管場所の位置を変更したとき(略)又は第五条の規定による届出に係る保管場所の位置を変更したときは、変更した日から十五日以内に、変更後の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、変更後の保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。変更後の保管場所の位置を変更したとき(略)も、同様とする。

(罰則)
第17条
3 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 (略)、第7条第1項(略)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

軽自動車の届出遅延や虚偽届の場合

 軽自動車の場合も届け出をしなかったり、虚偽届出をした場合は、10万円以下の罰金になります。

自動車の保管場所の確保等に関する法律

第5条
軽自動車である自動車を新規に運行の用に供しようとするときは、当該自動車の保有者は、当該自動車の保管場所の位置を管轄する警察署長に、当該自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置その他政令で定める事項を届け出なければならない。

(罰則)
第17条
3 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第五条(中略)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

悪質な事例は刑法の適用も

 悪質な事例では、自動車販売業者(ディーラー)の社員らが販売促進のために車庫飛ばしを組織ぐるみで指南して、顧客に車庫飛ばしをさせたり、顧客と結託して書類を偽造して車庫飛ばしが行われた悪質な事例もあります。

 このような場合には、刑法が適用され、書類送検や逮捕者も出ています。

刑法

(公正証書原本不実記載等)
第157条
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

車庫飛ばしの方法・手口

 大きく分けると以下の3パターンになります。

(1)廃車型

 自宅の駐車場に駐車可能な台数以上の車を所有するため、書類上所有車を廃車して、新たに車庫証明を取得する。

(2)住民票移動型

・駐車場の料金を節約するために、都市部の人が、一時的に住民票を駐車場の安い地方や実家などに移動させて、実際の使用地とは違う場所で、車庫証明を取得する。

・自分の好きな地名のナンバープレート(品川ナンバー、湘南ナンバー、横浜ナンバー等)で登録するため、希望する地名のナンバーを管轄する場所に住所を移したように見せかけ、一時的に実際に住民票を移して、ナンバープレートを取得後、住民票を元の場所に変更する。

・軽自動車の車庫証明が要らない島嶼部(とうしょぶ。伊豆・小笠原諸島など)に、軽自動車を登録する。

(3)ディーゼル車排気ガス規制型

自治体のディーゼル車排気ガス総量規制条例から免れるために、トラックを多数台保有する規制対象地域の事業者が、規制にかからない場所に名義上住所を移したように見せかけ、車庫証明を取得する。

実際は規制の対象になる所で、排ガス浄化対策をしていないトラックを保有すること。

他県ナンバープレートを取得するために車庫証明を偽装

自分の欲しい地名の湘南、横浜、品川などのナンバープレートを付けるために車庫の所在地を虚偽申請して車庫証明を取得する違法行為になります。

他県ナンバープレートを取得する流れ
  • STEP1
    一時的に住民票を移す
    希望するナンバーの地域に居住する家族、親戚、知人の住所に住民票を移します
  • STEP2
    駐車場を借りる
    その住所の近くで、車庫証明申請のために一時的に駐車場を借ります
  • STEP3
    車庫証明の申請と取得
    一時的な住民票と駐車場をもとに車庫証明を取得します
  • STEP4
    納車
    車庫証明をもとに売買が行われ、車が納車されます
  • STEP5
    駐車場のを解約
    一定期間の経過後、駐車場を解約し、車をもとの居住地に戻す
  • STEP6
    住民票を戻す
    自分の元の居住地に住民票を戻します

この方法で、自宅近くに車を保管し、他県のナンバープレートを付けることができますが、実際に車を保管する場所と車庫証明の住所が異なるため、車庫法違反となります。

親名義・実家・単身赴任・転勤は、車庫飛ばしに該当するか

(1)親の名義で登録
(2)使用者は自分
(3)車庫証明は実家
(4)実際は、実家とは別の県の下宿先の近くの駐車場を借りている
  ※車庫をきちんと借りている
(5)学生(若しくは単身赴任)で他県にいる
(6)数年後には、実家に帰る

 この場合は、厳密に言うと良い状態ではありませんが、車庫飛ばしに該当しません。

 また、正当な理由がありますので、自動車の主たる使用者が親の名義である以上、親から車を借りているご自身が、その貸借期間中の臨時の車庫を用意していることを加味すると、問題はないと思われます。

 しかしながら、車庫もきちんと確保するのであれば、最初から下宿先や単身赴任先で、車庫申請するのが最も無難と考えられます。

車庫の再確認(車庫飛ばしの確認)を警察が行う場合

 最近は車庫を持たない車の違法駐車が問題化してきおり、警察による車庫証明の確認が厳しくなっているようです。

 警察による確認の方法としては、警察の方が申請書の現場に行き、写真を撮った後、車の持ち主または使用者の自宅に伺い、当事者が在宅していれば直接口頭で、不在なら郵便箱にメモを残すなどして、確認についてを報告します。

 また、以下のような車両は確認を受けやすいようです。

(1)頻繁に駐車禁止を受けている車両
(2)駐車場でも無い場所に良く止めているなどの不審車両
(3)駐車場の貸主の方等が他県のナンバープレートを不審に思って通報した場合

いずれにせよ、車庫飛ばしは犯罪ですので、車庫飛ばし及びそれに類する行為はお控え下さい。

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