Q.郵便局で虚偽の転居届を知らない人が勝手に出せるのか?

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郵便局で虚偽の転居届を知らない人が勝手に出せるのか

転居届の悪用防止対策

2021年9月24日より、日本郵便は、郵便物の転送手続きをネット上で受け付ける「e転居」の手続き審査を厳格化しています。

具体的には、成り済ましによる不正利用を防ぐために、スマートフォンのカメラで申請者の顔と運転免許証などの本人確認書類を一緒に撮影して送信を求めるようになりました。

郵便局側で、スマホで撮った顔と運転免許証などの顔写真を照合し、本人であることを確認しています。

日本郵便からの本人確認強化のプレスリリース

日本郵便からの本人確認強化のプレスリリース

e転居とは

サイトの入力フォームに名前、旧住所、新住所、携帯番号などを入力することで、郵便の転居届の手続きがット上で完了する2008年に始まったサービスです。

2019年のe転居の利用は270万件を超えており、引越しをする方の半数以上が利用していることになります。また、転居届の累計としては、毎年約800万件も提出されており、窓口、郵送、ウェブの経路で、それぞれ約3分の1になっています。

以前のe転居の本人確認手続き

以前の本人確認では、ネット上で登録した携帯電話端末で、指定の専用番号に電話をかけてもらうことで、電話番号の突き合わせを行い、本人認証をしていました。

しかしながら、本人確認書類の提出は求めておらず、受け付け後に現地調査で転居の確認をしていると、郵便局側は発表しているものの、日中不在にする世帯が増えるなどで、把握が年々難しくなっていたと思われます。

転居届の隙を突いた虚偽申請や悪用方法

窓口で転居届を行う場合には、本人確認書類による厳重な確認を行っていました。

一方で、郵送やウェブの場合には、利用者利便に配慮し、本人確認書類の確認を行っておらず、代わりに訪問確認と電話番号確認を行っていたのですが、ここに2つの欠陥が存在していました。

訪問確認の欠陥

郵送やウェブ経由での転居届の受理後、旧住所に郵便局の担当者が訪問し、転居の事実確認を行っていました。

しかしながら、担当者が現地訪問した際に、不在で転居者に面会できない場合には、転居届が開始されるという確認書を投函し、投函後3日の間で、取り消しの申出がなければ、転送が開始されるというこの部分が1つ目の欠陥でした。

ストーカー被害にあっている女性などは、自宅を不在にしていることが多く、長期間自宅を不在にしている間に、3日間が経過し、ストーカーが勝手に出した転居届が知らないうちに、有効になる事が多かったのです。

メールアドレスと電話番号確認の欠陥

申請時に利用したメールアドレスや携帯電話番号を確認する過程はあるものの、その電話番号の保有者と転送前の住所の居住者を正確に紐づけることはできる確認方法ではなかったことが、もう1つの欠陥です。

e転居の以前の流れから欠陥について解説をします。

e転居の以前の手続き
  • STEP1
    事前登録
    ゆうびんID、パスワード、お名前、住所、電話番号、メールアドレスの設定
  • STEP2
    転居届の実施
    e転居から転居届の申請を行う
  • STEP3
    手続き完了メール
    e転居から登録メールアドレスに、6ケタの「確認番号」が記載された手続き完了メールが届く
  • STEP4
    確認電話を掛ける
    登録した電話番号から「転居届受付確認センター」0570-066-880へ電話する
  • STEP5
    確認番号の入力
    音声ガイダンスに従い、6ケタの「確認番号」を入力する
  • STEP6
    転居受付URLより転送の住所登録を行う
    確認番号の入力後、「e転居」転居受付URLより住所等登録手続きを行う

悪意を持った方であれば、STEP1からSTEP6まで、住所移転をしようとする方の名前と住所さえ知っていれば、あとは自分のメールアドレスと電話番号で虚偽申請をした後に、自分のメールアドレスに来る確認番号を、自分の携帯電話から入力するだけで、ストーカーが虚偽回答を自ら実施ができ、電話番号確認をすり抜けることができる仕様になっていました。

ストーカーがe転居の隙を突いて勝手に「転居届」を出した事例

ストーカーの無職の男性(36)が、「女性が実際にその住所に住んでいるのか、確かめたかった」という動機で、都内の20代女性のSNS(交流サイト)の情報などを基に女性の住所を特定し、2020年3月にe転居で転送サービスの申し込みを行い、そのまま申請が通っていた。

本件では、日本郵便の職員が女性の旧住所を訪れて確認をしていたが、女性がストーカー行為から避難するため不在であったため、なりすましを見破れなかった。

その結果、10通以上の女性宛ての郵便が、男の実家に転送されることになった。

顛末として、当該男性は、2020年7月、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕された。

AKB48ファン男性が自宅に郵便物を転送

アイドルグループ「AKB48」のファンの無職の男(25)が、2008年9月から~2009年5月までの期間で、複数のメンバーの転居届を郵便局に出し、郵便物を自宅に転送させたとして埼玉県警に2009年8月に逮捕されている。

手口としては、郵便局にメンバーと「同居することになった」と記載をした虚偽の転居届をポストに投函。メンバー11人の郵便物を転送していたようだ。

男 は、「メンバーのものならば何でもいいから手に入れたかった」と供述。

押収された200点の郵便物は、そのほとんどが電気、ガス、水道、電話などの公共料金の請求書だった。

その他の転居届の悪用事例

1.好意を寄せる知人女性の郵便物を無断転送し、住所を割り出した事例
2.新型コロナウイルス対策の給付金を不正に受け取ったりする事例

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