概要
兵庫県姫路市は、平成26年6月10日午後2時ごろ、市役所本庁の住民窓口センターを訪れた元夫が元妻の金銭借用書を示し、「債権債務関係」を理由に女性の住民票の写しを申請請求。ドメスティックバイオレンス(配偶者や恋人からの暴力・DV)などの被害者のため交付制限がある市内の60代女性の住所を記した住民票の写しを、確認をしないまま、加害者の70代の元夫に交付した。
経緯
窓口の業務委託の職員は、女性は、女性の申請で平成25年2月から交付制限がかかっていた交付制限の対象者だったため、正規職員にDV被害の照合と交付の判断を求めた。
住民基本台帳法では、交付制限がなければ、世帯が違っても債権者などの利害関係者には交付が認められる。
正規職員は、元夫が女性との間の金銭借用書を提示したため、交付要件を満たすと思い込み、交付が認められない人物(加害者)かどうかの確認をしないまま、正当な交付理由があると判断し、照合を怠たり、住民票を渡していた。
市の発表
兵庫県姫路市は、翌日の平成26年6月11日、当該交付ミスの事実の発表を行った。
兵庫県姫路市は、ミスに気付いて管轄の警察署に報告し、女性に経緯を説明し謝罪した。
また、「被害者の女性にはご心配とご迷惑をかけ、申し訳ない。女性の意向を聞いて対応を検討する。職員にはチェック体制の強化を行い、再発防止のため、研修を徹底する」としている。
尚、県警によると、女性は知人宅に身を寄せ、平成26年6月11日時点で被害はないという。
また、以下のように市のHP(http://www.city.himeji.lg.jp/s30/2212360/_32090.html)にお詫びの公表を行っている。
住民票の写しの誤交付について(お詫び)
平成26年6月10日に住民窓口センターにおいて、住民基本台帳事務における支援措置申出書による交付制限中の市内在住の方の住民票の写しを、誤ってDV等加害者に交付しました。
被害者の方には、ご心配とご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません。
また、市民の皆様には市政に対する信頼を損ね、深くお詫びいたします。
今後は、交付の際のチェック体制のさらなる強化を行い、再発防止に努めてまいります。
参考
住民基本台帳法に基づく省令などは、DV被害者を保護するため、申し出があれば住民基本台帳の閲覧や住民票の写しの交付が拒否できると定めている。
経過(示談成立)
兵庫県姫路市は、平成26年8月29日付けで、被害女性に損害賠償金約130万円を支払い、示談した。
賠償金の内訳は一時避難と転居費用90万円と慰謝料40万円。
兵庫県姫路市住民窓口センターは、交付制限された人の住民票を交付するときは、DVなどの被害者保護の支援措置申出書を保管する住基担当職員に限定するなど再発防止策をとっているという。
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