【ニュース】秋田市DV被害女性の住所を誤って加害者の男性に交付

住民票ニュース

概要

秋田県秋田市は2015年7月27日、DV(ドメスティックバイオレンス=配偶者や恋人からの暴力)被害を受け、市外に転居した女性の引越し先が記載されている所得・課税証明書を、誤って加害者の男性に交付したと発表した。

前提

被害女性は、
・結婚し同居していた夫から暴力、DVを受けていた。
・2015年4月、夫から逃れ、秋田市から秋田県外に転居した。
・夫に新しい住所を知られないよう、個人情報の閲覧や住所が記載された住民票などの証明書の交付制限する申請(DV防止法に基づく手続き)を秋田市に実施した。
・本申請に基づき、秋田市は住民票などの発行を禁止する措置を取っていた。

経緯

・2015年4月中旬~下旬、加害者の男性が秋田市土崎港西の北部市民センターを訪れた。
・妻の所得・課税証明書の発行を請求した。
・発行の請求書には妻の現住所を記載する欄があるが、男性は県内の無関係の住所を記載。
・担当した50代と60代の秋田市の2人の職員が、記載された住所と妻の現住所が異なっているのを見逃して、女性の住所が記載されている証明書を加害者の男性に交付した。
・秋田市の運用マニュアルの規定では、課税証明発行の申請に用いた住所が実際と食い違う場合、住民記録システムを照会することになっており、交付制限がかかっていないかを確かめることになっていており、女性がDV被害支援措置を受けていることはシステム上で確認できたが、担当の職員2人が作業を怠った。
・住民票などを発行する住民記録システム上は、女性がDV支援措置(住民票の閲覧や交付の制限)を申請した転居先の自治体からの通報により、秋田市にも、自治体からその連絡が届いており、証明書類の発行を禁止する措置が取られていたが、税関係の課税証明のシステムは住民記録システムとつながっておらず、禁止措置は反映されていなかった。
・後日、男性が秋田市の別の窓口を訪れ、再び証明書の発行を申請しようとしたため、誤交付が判明した。

顛末と再発防止策

秋田県秋田市は、
・女性に謝罪。
・転居先の自治体や警察に連絡して警戒を要請。
・引越し費用・慰謝料などとして約77万円を支払って2015年7月7日に和解。
・加害者が転居先を訪問する・付きまとうといった被害は確認されていない。
・女性は、情報漏えいによって再度の転居を余儀なくされ、2015年7月、さらに別の自治体に転居済み。
・秋田市市民生活部の堀井満部長は、市役所での記者会見で「職員の不手際で多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます」、「幸いにも新たなDV被害には結び付かなかったが、与えた不安は計り知れない」、「チェック体制を強化し、再発防止を徹底する」と述べた。
・女性を保護するため、女性の特定につながる情報は公表しないとした。
・高橋洋樹総務部長は取材に対し「職員から経緯や事実関係を聞いた上で処分を検討する」と話した。
・再発防止策として、秋田市は今後、住所が記載された書類の発行禁止の措置が取られている場合、本人以外からの申請には応じないことにした。

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