【ニュース】ソフトバンク元携帯販売店員顧客個人情報漏えい事件

住民票ニュース

▼発端

2010年7月1日、愛知県警によると、指定暴力団山口組弘道会の取り締まりを強化する中、捜査を担当する愛知県警幹部(48)の情報が取得される。幹部を脅迫した人物が、探偵会社などを通じて幹部の携帯電話番号から住所を割り出したと推定。
2010年7月8日、都内の司法書士事務所経営者らが幹部の住民票を不正取得。幹部を脅迫した人物が、住所から住民票を取得して、次女の名前を調べたと推定。
2010年7月、幹部宅に、次女の実名を出した上で捜査中止を求める脅迫電話があった。
愛知県警は、横田容疑者は、愛知県警幹部(48)の個人情報を不正に取得、平田容疑者に開示し、平田容疑者らを通じて住所を入手した人物が本件に関与したとみて、全容解明を目指している。

中核人物:探偵業

氏名:平田一雄(ひらた・かずお)
職業:探偵業(総合探偵社リサーチ24、広島県公安委員会第73090018号)
年齢:2012年時点:36~37歳
住所:広島市安佐南区相田1丁目

2007年6月以降の5年間で、約2100件の漏えいを調査会社などから依頼され、1件当たり5000円前後を店員に支払って住所や氏名などの個人情報を仕入れ、12,000円前後で愛知県の調査会社などに売っていた。
2010年、平田被告は、横田被告が漏えいした契約者3人の氏名や住所、固定電話番号を情報屋に送った。
2011年、平田被告は、巨海被告が漏らした契約者3人の氏名などの情報を情報屋に送った。

2012年6月28日、指定暴力団山口組弘道会などの捜査を担当する愛知県警幹部の個人情報を不正に取得、開示したとして、平田容疑者を逮捕。

2012年8月9日、愛知県警は、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で、再逮捕。
平田容疑者は、携帯電話契約者の栃木県の無職女性(31)ら3人の住所や自宅電話番号などの個人情報を愛知県の調査会社にFAXで教えた疑い。
携帯電話販売店の店員7~8人を情報漏えいの内部協力者として確保していた。

2012年8月30日、名古屋地検は、別の不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪で、広島市安佐南区の探偵業平田一雄容疑者(36)を追起訴した。平田容疑者は、起訴内容を認めている。

2012年12月20日、名古屋地裁は、懲役2年2月、執行猶予4年、罰金200万円(求刑懲役2年6月、罰金200万円)の判決を言い渡した。
後藤真知子裁判長は「報酬の支払いを持ち掛けて内部協力者を誘い込み、極めて機密性の高い情報を長期間、常習的に漏えいさせた」と指摘し「刑事責任は軽くない」と非難する一方、「罪を認め反省している」点などを踏まえ執行猶予を付けた理由を説明した。
論告によると、平田被告は2007〜2012年、同種の情報を情報屋に売ることで約1200万円の利益を得ていた。

顧客情報流出:ソフトバンクモバイル代理店元店長

氏名:横田太佑
年齢:2012年時点:33歳
職業:ソフトバンクモバイル代理店元店長
住所:岡山市北区北長瀬表町3丁目

2010年7~8月、横田容疑者が、岡山市北区の代理店で、携帯電話に契約する県警幹部ら3人の住所や自宅電話番号などの個人情報を不正に取得し、携帯メールで平田容疑者に教えた。

2012年6月28日、指定暴力団山口組弘道会などの捜査を担当する愛知県警幹部の個人情報を不正に取得、開示したとして、横田容疑者を逮捕。

2012年9月12日、名古屋地裁(後藤真知子裁判長)で、横田被告と平田被告の初公判が行われた。
両被告は、いずれも「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側が横田被告に懲役2年、罰金100万円を求刑するなどして結審した。
平田被告の公判は途中で分離された。
検察側は論告で、横田被告は2010年までの約3年5カ月の間に、個人情報を平田被告に漏らし500万円以上の利益を得ていたと指摘。
「金欲しさから安易に平田被告の要求に応じた身勝手な犯行。
個人情報保護の重要性は高まっており、一般予防の観点からも厳罰が必要」と述べた。
弁護側は、逮捕されるまで勤めていた会社を懲戒解雇されるなど社会的制裁を受けているとして執行猶予付判決を求めた。

2012年10月11日、名古屋地裁は、横田被告に、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金70万円(求刑懲役2年、罰金100万円)の判決を言い渡した。
後藤真知子裁判長は「報酬目当てに探偵の誘いに乗り、日常的に漏えいしていた刑事責任は軽くない」と述べた。
判決によると、横田被告は2010年7~8月、店の端末で検索した顧客3人の氏名や住所、自宅の電話番号などの情報を平田被告に漏らした。

顧客情報流出:ソフトバンクモバイル代理店元店員

氏名:巨海美咲(こみ・みさき)
年齢:2012年時点:21歳
住所:香川県丸亀市綾歌町栗熊西
職業:2011年1~8月、携帯電話販売代理店ソフトバンクこんぴら店(香川県まんのう町)で勤務。店員。

2011年5~7月、巨海容疑者は、携帯電話販売代理店の職場の端末で不正取得し、携帯電話契約者の栃木県の無職女性(31)・千葉県の会社員(25)ら20〜50代の女性契約者3人の住所や自宅電話番号などの個人情報を閲覧し、平田容疑者に携帯電話のメールで漏らした。
平田容疑者は、この情報を依頼元の愛知県の調査会社にFAXで送った。
横田容疑者の解雇後、巨海容疑者が後継者として漏えいを担っていた。
巨海容疑者は2011年1月に、知人女性を通じて平田容疑者と知り合い、結婚退職する2011年8月まで漏えいを続けていた。
平田容疑者は2007年6月から横田被告に漏えいを依頼していたが、2010年11月末に横田被告が店舗統廃合で解雇され、新たな協力者を探していた。
横田被告の以前にも別の代理店店長の女が漏えいを担っており、平田容疑者は次々に協力者をリクルートしていた。

2012年8月9日、愛知県警は、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で、巨海容疑者を逮捕。

2012年8月30日、名古屋地検は、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)罪で、巨海容疑者を起訴。巨海容疑者は、起訴内容を認めている。
巨海容疑者は、平田容疑者の依頼に応じて百数十件の顧客情報を漏らし、1件当たり5000円の報酬を受け取っていたとみられる。
「小遣いが欲しかった」と供述している。平田容疑者は当該情報を11,000〜13,000円で転売していた。

2012年10月25日に、巨海被告の初公判は名古屋地裁(後藤真知子裁判長)で行われた。
巨海被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は、論告で、巨海被告が2011年1月ごろからの約7カ月間に143件の顧客情報を平田被告に漏らし、1件約5000円で、約70万円の報酬を得ていたと指摘した。
弁護側は、立場は従属的で反省もしているなどとして執行猶予を求めた。
検察側は、懲役1年6月、罰金20万円を求刑するなどして結審した。

2012年11月29日に、巨海被告の判決公判が名古屋地裁で行われた。
後藤真知子裁判長は、懲役1年2月、執行猶予3年、罰金10万円(求刑懲役1年6月、罰金20万円)を言い渡した。
後藤真知子裁判長は、「報酬目当てに探偵業者の誘いに乗り、極めて機密性の高い契約者情報を漏えいした。
短絡的な動機や経緯に酌むべきところはない」と述べた。

顧客情報流出:その他協力者

2012年10月10日、愛知県警は、不正競争防止法違反(営業秘密侵害)容疑で、
(1)香川県の携帯電話販売代理店の元店員の女A
(2)香川県の携帯電話販売代理店の元店員の女B
(3)広島市の元店員の女C
の計3人を書類送検した。いずれも容疑を認めている。

2011年3月~2012年4月、3人の送検容疑はそれぞれ勤務していた店の端末を操作し、大分県の男性会社員(48)ら3人の住所や自宅電話番号などの個人情報を、平田容疑者に漏らした疑い。
元店員の女ら3人はそれぞれ24~106件の情報を漏らし、1件当たり5000円の報酬を受け取っていた。

2012年10月25日までに、名古屋地検は、上記3人を起訴猶予とした。処分は2012年10月24日付。

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