A.自己破産をしても、自己破産歴が戸籍や住民票には記載されることはなく、生活保護受給者であることを証明する印は記載されていません。また、法律上も住民票に記載すべき事項が定められていますが、生活保護や自己破産に関する事項は記載対象となっておりません。
参考としまして、住民票の記載項目は、次のとおりです。
住民票の記載項目
(1) | 住所 |
(2) | 氏名 |
(3) | 生年月日 |
(4) | 性別 |
(5) | 世帯主の氏名及び続柄 |
(6) | 戸籍の表示(本籍・筆頭者氏名) |
(7) | 住民となった年月日 |
(8) | 住所異動した方については、その住所を定めた年月日(転入日) |
(9) | 届出の年月日及び従前の住所(以前の住所) |
※ 上記のうち、「世帯主の氏名及び続柄」と「戸籍の表示(本籍・筆頭者氏名)」については、住民票の交付請求時に、住民票へ記載するか省略するかを選択することできます。役所の係員に事前に告げたり、請求用紙に希望を記載することで、表示しないことが出来ます。
※ 死亡や転出等より、該当の自治体の市民でなくなった場合に住民登録が抹消されますが、抹消された住民票を除票といいます。「住民票の除票」と言われる住民票の記載項目は、上記の記載項目のほかに、消除の理由、消除の届出年月日、消除の年月日が記載されます。尚、除票になってから5年を越えたものは発行できないこととなっています。
※ また、生活保護を受けていると、「減額、免除、交付」など色々受けられる支援がありますが、住民票、住民基本台帳カードの交付手数料も免除等の対象になっている場合があります。自治体に一緒に確認をしてみて下さい。
一般人は閲覧できない破産者名簿に記録される
ただ、自己破産すると破産者の本籍地の市町村役場に通知が行き、破産者名簿に記載されることになります。
しかしながら、破産者名簿は、これは非公開で、破産者でないことの身分証明書を国が発行する際にチェックするための名簿であり、第三者(一般の人)が閲覧する事は不可能である事から、この名簿から自己破産の事実が知れる可能性はほとんどありません。尚、本籍地を管轄する役所には通知が行きますが、住所を管轄する役所には通知は行きません。
また、免責決定が確定し、復権すれば、破産者名簿からは抹消されることになりますので、免責が見込まれる場合には心配の必要はありません。
※ 破産者名簿の根拠条文:各自治体の身分証明事務取扱規則
故に、第三者が戸籍や住民票を入手し、過去の自己破産歴を確認することはできません。
官報で、自己破産歴は確認できる
戸籍・住民票では自己破産歴を確認できませんが、「官報」により確認することができます。
官報というのは、国が出している公報紙で、、法改正情報や、破産情報などが載り、毎日発行されているものです(こちらは、政府公報センターなどで売っていますが、通常の書店には売っておらず、普通の人は読んでいません)。
しかし、民間情報機関がこれに対し官報に掲載された破産者情報について収集し、各金融機関及び信販会社へと提供されています。
この情報により情報提供を受けた各金融業者は、借り入れの申し込みをしてきた相手が破産者であれば契約を見合わせるなどに利用しているため、このような情報機関から情報提供を受ければ、自己破産歴を確認することは可能になります。
尚、自己破産の官報を見て、ヤミ金融などから、勧誘の電話が掛かってくることもあるようです(自己破産する方は正規のクレジット等を利用できない、再度しばらくは免責を受けれない、お金にだらしない方(カモになる)の割合が多いなどから、狙われているようです。)。
破産者名簿の存在理由
「破産者名簿」は、「身分証明書」という成年後見・保佐人・補助人の有無、破産の有無を証明するための、かなり特殊な証明をするときの参考資料とするために存在しており、自己破産の場合は免責が確定するまでの期間に記載が行われます。
破産者名簿もうやむやにする方法
小さな市であれば、市職員が知り合いで、破産したことを知られてしまう可能性もあります。万一のことを考え、有耶無耶にしたいのであれば、本籍を異動させる方法があります。本籍を移動させることは、住民票と異なり引越しなどの理由は必要ありません。「分籍届」等を出すことにより、本籍を移すことが可能です。
尚、本籍の移動は、通常結婚や離婚の場合以外は通常行われないため、見る人が見れば、バツイチでは?と思われることもありますので、お勧めはできません。
住民票見本
参考に、住民票の記載項目を明示した住民基本台帳法の条文(第7条等)をご確認下さい。
住民基本台帳法
(住民票の記載事項)
第七条 住民票には、次に掲げる事項について記載(前条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
一 氏名
二 出生の年月日
三 男女の別
四 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
五 戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨
六 住民となつた年月日
七 住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については、その住所を定めた年月日
八 新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については、その年月日)及び従前の住所
九 選挙人名簿に登録された者については、その旨
十 国民健康保険の被保険者(国民健康保険法 (昭和三十三年法律第百九十二号)第五条 及び第六条 の規定による国民健康保険の被保険者をいう。第二十八条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の二 後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律 (昭和五十七年法律第八十号)第五十条 及び第五十一条 の規定による後期高齢者医療の被保険者をいう。第二十八条の二及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の三 介護保険の被保険者(介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第九条 の規定による介護保険の被保険者(同条第二号 に規定する第二号 被保険者を除く。)をいう。第二十八条の三及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一 国民年金の被保険者(国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)第七条 その他政令で定める法令の規定による国民年金の被保険者(同条第一項第二号 に規定する第二号 被保険者及び同項第三号 に規定する第三号 被保険者を除く。)をいう。第二十九条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一の二 児童手当の支給を受けている者(児童手当法 (昭和四十六年法律第七十三号)第七条 の規定により認定を受けた受給資格者をいう。第二十九条の二及び第三十一条第三項において同じ。)については、その受給資格に関する事項で政令で定めるもの
十二 米穀の配給を受ける者(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 (平成六年法律第百十三号)第四十条第一項 の規定に基づく政令の規定により米穀の配給が実施される場合におけるその配給に基づき米穀の配給を受ける者で政令で定めるものをいう。第三十条及び第三十一条第三項において同じ。)については、その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの
十三 住民票コード(番号、記号その他の符号であつて総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)
十四 前各号に掲げる事項のほか、政令で定める事項
(本人等の請求による住民票の写し等の交付)
第十二条 住民基本台帳に記録されている者は、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し、自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し(第六条第三項の規定により磁気ディスクをもつて住民票を調製している市町村にあつては、当該住民票に記録されている事項を記載した書類。以下同じ。)又は住民票に記載をした事項に関する証明書(以下「住民票記載事項証明書」という。)の交付を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 当該請求をする者の氏名及び住所
二 現に請求の任に当たつている者が、請求をする者の代理人であるときその他請求をする者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たつている者の氏名及び住所
三 当該請求の対象とする者の氏名
四 前三号に掲げるもののほか、総務省令で定める事項
3 第一項の規定による請求をする場合において、現に請求の任に当たつている者は、市町村長に対し、第三十条の四十四第一項に規定する住民基本台帳カードを提示する方法その他の総務省令で定める方法により、当該請求の任に当たつている者が本人であることを明らかにしなければならない。
4 前項の場合において、現に請求の任に当たつている者が、請求をする者の代理人であるときその他請求をする者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たつている者は、市町村長に対し、総務省令で定める方法により、請求をする者の依頼により又は法令の規定により当該請求の任に当たるものであることを明らかにする書類を提示し、又は提出しなければならない。
5 市町村長は、特別の請求がない限り、第一項に規定する住民票の写しの交付の請求があつたときは、第七条第四号、第五号及び第九号から第十四号までに掲げる事項の全部又は一部の記載を省略した写しを交付することができる。
6 市町村長は、第一項の規定による請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。
7 第一項の規定による請求をしようとする者は、郵便その他の総務省令で定める方法により、同項に規定する住民票の写し又は住民票記載事項証明書の送付を求めることができる。
コメント