車庫法違反で取り締まる
車庫法とは、正式には「自動車の保管場所の確保等に関する法律」のことになります。
車庫法には、道路に12時間、夜間の場合は8時間連続で駐車する行為は、20万円以下の罰金を適用するという条項があり、この法令の違反を追求できる可能性があります。
日中は12時間、夜間は8時間駐車している状態を撮影し、証拠として提出することで犯罪の構成要件は整いますが、所管の警察署によって受け付けてくれる場合、受け付けない場合があります。
Q.どのくらいはみ出したら車庫法違反か?
何センチメートル道路にはみ出したら違反という明確な規定は定められていません。
厳密には道路境界線を少しでもはみ出したら違反になりますが、自宅の駐車場からタイヤ1つ分はみ出したとしても、即座に取り締まられることはありません。
車庫法違反の書類送検から罰金までの流れ
- STEP1違反票車に、警察署への出頭義務が記載された違反票がつけられる
- STEP2調書警察で調書を取られる
- STEP3裁判日程連絡簡易裁判所へ行く日(違反日から1ヶ月後前後)を警察から指定される
- STEP4書類送検警察から検察庁に書類送検する
- STEP4起訴検察庁が起訴を行う
- STEP5呼び出し通知裁判所から本人に呼び出しの通知が届く
- STEP5略式裁判簡易裁判所で、当日内に略式裁判の判決が出て、罰金額が決定される
- STEP5罰金支払い罰金数万~10万円前後を支払う
Q.警察は車庫法違反(長時間駐車)を取り締まらない?
道路交通法違反は、ほとんどが反則金を払うことで刑事責任を免れ、前科が付きませんが、車庫法には反則金が導入されておらず、車庫法違反は罰金を課せられることになります。
相手が悪質な場合は(前歴の有無によって)、前科が付き、最大で三か月以下の懲役が科される可能性もありますが、その反面、警察内部での手続きが煩雑になっています。
そのため、警察内での事例が少ないことから手続きの確認にも時間がかかり、内部の目標にも入っておらず評価に繋がりにくいこともあり、そもそも取り締まりをしてくれないことも多くなっているようです。
また取り締まりに来てくれたとしても、検挙には至らず、「車を移動するように」と注意するだけで終了ことがほとんどのようです。
取り締まってもらえない場合に関しては、明確な証拠を集める、通報を繰り返す、県警などの上級役職者や上位部署から指示をしてもらう、マスコミ等に取り上げてもらう、地域の団体として通報を行う、悪質性や事故を誘発する可能性が高いなどの地域への悪影響を示すなど、依頼方法を変えることで対応をしてもらえる可能性が増えるようです。
車庫法の取り締まり件数の少なさ
令和2年12月に警察庁交通局から出された資料によれば、駐車違反は年間110万件の検挙数に対し、車庫法違反は600件程度の検挙数となっており、車庫法違反の適用の難しさが統計データからも分かります。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/kisei/tyuusya/parking.pdfQ.駐車禁止の指定区域ではない道路の青空駐車は取り締まれるか?
道幅が3.5メートル以上の余裕がない場合は、無余地駐車による駐車禁止で取り締まれる可能性があります(道路交通法45条2項違反)。
無余地駐車とは?
無余地駐車とは、交通違反の一つで、道路上に車両を駐車をする場合、車の右側の道路に3.5m以上の余地がない場所での駐車は違反行為とみなされます。
また、道路標識により駐車余地が指定されている場合も、その余地が取れない場所での駐車は違反行為とみなされます。
但し、救護などの緊急時や荷物の積み下ろしなど一時的な停車であれば、駐車は認められています。
尚、無余地駐車の罰則は、普通車であれば、違反点2点、反則金15,000円になります。
Q.警察が動いてくれない場合はどうすればよいか?
警察も多忙を極める状況ですので、軽微な違反等の場合は即座に動いてくれないこともあります。そのような場合はどうしたらよいのでしょうか。
証拠を集める
証拠集めることも大事になります。警察は法的証拠がなく、軽微な訴えの場合は他に業務もあるため、動かないことがあります。
そのため、自分自身で物的証拠を集め、提出することで動いてもらえる可能性が高まります。
スマホで動画の撮影をしておく、日時が分かるように写真を撮影しておくことも、立派な証拠になります。また経緯等をいつから、どのような状況だったのかなどをA4で1枚程度でも書面化しておくことも重要です。
警察の連絡先を変えてみる
警察署(代表)、交通課、派出所、110番通報など連絡先によっては対応が変わる場合があります。
但し、迷惑になるような頻度の通報や連絡は警察の業務を逼迫させることにもつながるため、控えることが望ましいと思われます。
対応者を変える
困っている方が自分だけでない場合、近隣の住人や自治会、マンション等の管理会社など、対応者を変えることで、警察が動いてくれる可能性も高まります。
警察の監察官室に申し立てる
所管の警察署や交番が正当な理由なく、動いてくれない場合は、警視庁や各道府県警本部に設置されている相談窓口や監察官室という部門に相談や申し立て、または公安委員会に行う方法があります。
監察官は、警察の不祥事の捜査や服務規定違反など内部罰則を犯した警察官への調査や質疑、会計監査業務に携わり、「警察の中の警察」と言われる組織です。
公安委員会への苦情申出制度を利用する
公安委員会では、警察法第79条の規定に基き、警察職員の職務執行への苦情がある場合は、文書等、各都道府県の公安委員会の定める様式による申出を受け付けています。
この制度における対象となる苦情は、以下の2つになります。
- 警察職員が職務執行において違法、不当な行為をしたり、なすべきことをしなかったことにより、何らかの不利益を受けたとして具体的にその是正を求める不服
- 警察職員の不適切な執務の態様に対する不満
但し、明らかに警察の任務と関係ないこと、一般論としての苦情、提言などは、受付対象外になっています。
ナンバープレートから所有者を調べる
軽自動車以外の普通車(白いナンバー)であれば、陸運事務所でナンバープレートから所有者が分かります。
使用者が分かった場合は、直接抗議した上で、捜査機関に対して所有者を告発することも可能になります。