判決文に著作権はあるか
裁判所の判決文は著作権法13条3号で保護対象ではないと定められていないため、判決文全文を印刷物やメールで会社の関係者に配布することについて、複製権侵害や公衆送信権侵害といった著作権法上の問題を生じることはありません。
判決文の配布は違法か
しかしながら、判決への法律雑誌などに記載されている解説文には、創作性が認められるため、著作権保護の対象となるため、解説文の複製と関係者への配布は、それぞれ著作権者の複製権(著作権法21条)と譲渡権(著作権法26条の2)に抵触するため、注意が必要です。
私企業において、業務上利用するために著作物を複製する行為は、私的使用目的での複製(著作権法30条1項)には該当しないため(舞台装置設計図事件・東京地裁昭和52年7月22日判決 ・無体集9巻2号534頁:事件番号昭和48(ワ)2198)、解説文の複製と関係者への配布は、権利者の許諾が必要になります。
(複製権)
著作権法第21条
著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(譲渡権)
著作権法第26条の2
著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
二 第六十七条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律(昭和三十一年法律第八十六号)第五条第一項の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
三 第六十七条の二第一項の規定の適用を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
四 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
五 国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物
複製や許諾に関する関連サイト
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