【ニュース】神奈川県横浜市、本人通知制度導入、住民票等不正取得抑止へ

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神奈川県横浜市、本人通知制度導入、住民票等不正取得抑止へ

 2015年2月27日、神奈川県横浜市の市民局窓口サービス課は、本人の権利及び利益を保護し、住民票等の不正取得を抑止するため、住民票の写しや戸籍謄本等が本人以外の第三者に交付され、それが不正取得と判明した場合、本人にその事実を通知する「本人通知制度」を導入されました。

 また、本人通知の要件に該当し、すでに判決の出ている二つの過去の不正取得事件に関係する案件では、横浜市市内での不正取得などが279件判明しており、横浜市は同日2015年2月27日、243人に不正所得の事実を郵送で本人に通知されています。

本人通知制度の概要

 本人通知制度は、住民票などが本来の目的以外に使用されることを抑止し、ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーから逃れている被害者を保護することなどにつなげるのが目的となっています。

 住民基本台帳法や戸籍法の違反事件として判決が確定した場合や、弁護士や司法書士ら特定事務受任者が職務上請求書を使って不正取得をした事実が国や県、関係機関の通知で判明した場合などに本人に通知するとされています。

(1)通知の対象となる証明書
・住民票の写し
・住民票記載事項証明書
・戸籍の附票の写し
・戸籍全部(個人・一部)事項証明書
・戸籍謄抄本
・戸籍届出記載事項証明書

(2)通知する場合の要件
以下のいずれかに該当する場合、本人に通知されます。
・住民基本台帳法又は戸籍法の規定の違反事件に係る判決又は決定が確定した場合
・国、県その他関係機関の通知等により、特定事務受任者(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)が職務上請求書を使用し、不正取得をした事実が明らかになった場合
・上記に掲げる場合のほか、区長がこれらの場合に準ずると認める場合

過去の不正取得に対する本人通知

 平成23年11月に発覚した戸籍住民票大量不正取得事件(プライム事件)及び平成24年9月に発覚した同様な事件(ベル・リサーチ事件)において、住民票の写しや戸籍証明書等が不正に取得された本人に、横浜市はその事実を通知しています。
通知日:平成27年2月27日(金)
通知数:279件

(参考)プライム事件

 平成23年11月11日、偽造有印私文書行使、戸籍法違反など(住民票の写しや戸籍謄本等の不正取得)の疑いで東京都の司法書士事務所「プライム総合法務事務所」の経営者、司法書士ら5名が逮捕されました。同事務所は、本事件が明るみになる3年前から、全国で少なくとも約1万件の個人情報を取得していたと報じられています。

 平成24年3月不正取得を行っていた同事務所所属の司法書士兼行政書士に対して罰金250万円の判決、同年5月同事務所経営者に対して懲役3年の判決が出ています。

(参考)ベル・リサーチ事件

 平成24年9月27日、偽造有印私文書行使、戸籍法違反など(住民票の写しや戸籍謄本等の不正取得)の疑いで群馬県の調査会社「ベル・リサーチ」の社長ら関係者8名が逮捕されました。同事務所は、本事件が明るみになる6年前から、全国で少なくとも約1万件の個人情報を取得していたと報じられています。

 平成25年3月不正取得を行っていた同社関係者の東京都の行政書士に対して懲役2年6か月(執行猶予3年)の判決、平成25年3月同社社長に対して罰金250万円の判決が出ています。次いで平成25年6月不正取得を行っていた同じグループで別の調査会社「エス・アール・シー」の代表で元行政書士に対して懲役3年(執行猶予5年)の判決が出ています。

神奈川県の制度導入自治体

 厚木市のみ、本人が窓口で事前に登録すれば、取得時の不正の有無にかかわらず通知する「事前登録型」も併せて導入しているが、他の自治体は、不正が判明した後に通知する「事後型」となっている。

 事後型の場合は、捜査当局による事件化や判決の確定などがなければ通知されず、不正取得されてもすぐには本人には伝わらない。

 厚木市の場合、事前登録した人には不正のあるなしに関係なく通知が行われる。しかしながら、「職務上請求書」を提出することで本人の同意なく交付が認められる弁護士や行政書士ら特定事務受任者の請求は除かれている。

藤沢市 (2013年9月1日)
相模原市(2014年3月末日)
鎌倉市 (2014年4月1日)
伊勢原市(2014年5月1日)
秦野市 (2014年6月1日)
小田原市(2014年7月1日)
厚木市 (2015年1月5日)事前通知制度も)
川崎市 (2015年1月15日)
横浜市 (2015年2月27日)
横須賀市(2015年4月以降予定、事後型の欠点を補う住民票発行履歴の簡易開示も併せた制度を予定)

日本弁護士連合会の見解

 本人通知制度について、日本弁護士連合会は2009年に「職務遂行に支障が出る」と国に慎重な対応を求める申し入れをしている。

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